「サハリンに行ったことがありますか?」

サハリンエナジー社の取材。モスクワの取材を終えてその足でサハリンに向かった。モスクワからおよそ10時間。“国内便”に乗ってユーラシア大陸の西から東へ飛んでホムトヴォ空港に到着。サハリンに外国人が入れるようになったのは1989年から。サハリンはもともと日本の領土であり、古くは北海道とも陸続きであったことから、その風景は北海道と良く似ている。なんだか外国にいる気がしなかった。サハリンは極寒の地というイメージがあるが海に囲まれているので、平均最低気温は旭川市のほうが低い。サハリンの州都、ユジノサハリンスクはサハリンの南端にある。取材に行ったサハリンⅡの天然ガスプラントはここから車で1時間のプリゴロドノエ村にあった。ここは海が凍らないので天然ガスを船で運ぶのには適した場所なのだ。サハリン北東、大陸棚の海底ガス田「ルンスコエ鉱区」からパイプラインでここまで運ばれてくる。1975年から日本の商社が開発をしてきたが、完成間近でロシア側から待ったがかかり、紆余曲折の末、ロシアのガスプロムに株式の過半数を譲る格好になった。総額2兆3000億円の巨大プロジェクトである。(内田 裕子)