どこまでも広がるさとうきび畑。これほど目に優しい風景が他に存在するだろうか。私は知らない。地平線というものを久しぶりに見た、というか、これまで地平線を見たことがあったのかすら怪しくなってくる圧倒的な風景だ。これはすごいと、感動していると、小さな島国から来た日本人に向かってブラジル人ガイドはつぶやく。「ここのさとうきび畑はブラジルの中では小規模な方ですよ」と。ブラジルは1970年代に起こったオイルショックをきっかけに、脱化石燃料を目指して、サトウキビから作ったエタノールを主力燃料とする国家プログラムを始めた。そして、いまでは国内で走っている車のほとんどがフレックス燃料車。エタノールでもガソリンでも、両方ミックスしても走る車なのだ。しかし、バイオエタノール先進国のブラジルに電気自動車は普及するのだろうか。資源大国の余裕だろうか。ひたすらわが道を行くブラジルであった。(内田 裕子)