「中古リモコン」

ジャカルタの商店街の風景。インドネシア人はたくましくて、なんでも商売にしてしまう。中古のミュージックテープや中古の携帯電話など隙間を見つけては商品を広げている。この女の子は中古のリモコンを売っている。家電の中古品の売買が活発なインドネシアにおいてリモコンはご主人と離れ離れになる宿命なのだろう。輸入の前の段階でリモコンは置き去りにされるのかもしれない。そうした中古家電を買った人が相棒のリモコンを求めてこの女の子のところを覗きにくるのだ。孤独なリモコンはビニールに包まれながら誰かに探してもらえる日をじっと待っている。(内田 裕子)