テーマは「真の顧客視点とは何か」
2012/11/22
11月18日の日曜日、第5回財部ゼミナールが開催されました。
財部ゼミナールとはハーベイロード・ジャパン会員のプレミアムクラスで、15名限定の勉強会です。2ヶ月に1度開催され、毎回テーマを決めて、3時間みっちり議論するというものです。
前半は財部誠一が問題提起も兼ねて話をし、後半は財部誠一がモデレーターとなり、メンバー全員参加でディスカッションする熱い勉強会です。前回は「真の顧客視点とは何か」という、難しいテーマで語り合いましたが、最近のなりふりかまわぬ安売り合戦は、もはや消費者のニーズをはるかに超えて行き過ぎている。ユーザーはじつはそこまでの安さは望んでいないのではないかというのがメンバー共通の問題意識でした。自らの価値を自らで貶めていく、誰も幸せになっていない悪循環をどこかで止めなければ、日本経済の復活はないという危機感を持ちながら終了となりました。
その後は忘年会を兼ねてスカイツリーを眺めながらの食事となりました。最近の財部ゼミナールはメンバーがとても積極的に発言をして、大変盛り上がります。(内田裕子)
9/20の講演会後
2012/09/21
昨日、岐阜県・多治見に本社がある、東濃信用金庫さんにお邪魔しました。
59店舗、県内2位の信金ですが、地域の経営者を集めた勉強会で講演をさせていただきました。
非常に勉強熱心な経営者クラブで今回で379回目だそうです。「取材現場から見える日本経済」というタイトルで、
いろいな会社のイノベーションの成功事例などをお話させて頂きました。
講演が終わった後、講演内容を受けて、自分たち信金も大手金融と違う取り組みをしていかなければいけないんです、
と問題意識を持っていらっしゃいました。
でも、金融商品で差別化するのは規制もあってなかなか難しい、金利も岐阜は優良企業が多い中、
金融同士の競争も激しく、日本でもっとも低いのだそうで、そこでの競争も難しいと。
「そうなるととにかく地域密着の金融機関になるしかないんですね」となるのですが、
貢献したくてもなかなか自由にはいかないそうです。例えば、自分達の社屋のホールなど、
土日に市民に利用してもらおうと考えたそうですが、やはり信用第一の金融、
誰もが自由に出入りできるのはどうかとか、あまり営利目的なものには貸せないとか、考えてしまうそうです。
金融庁がいろいろうるさいですから、ネガティブ思想になってしまいがちですね。
でも、これから企業の資金需要が激減していく中、地域で生き残っていくためにも、
本当の意味での金融の社会貢献とは、やはり新しい融資先を大事に生み育てていくことしかないのだろうな、
と思います。(内田裕子)
8/23に富士山に登って来ました!
2012/09/11
ずいぶん前から挑戦したかった富士登山でしたが、山小屋が営業している期間が7月、
8月の2ヶ月間だけと短く、
毎年ばたばたしているうちに夏が終わってしまい、「ああ、
今年もダメだった・・・」という感じだったのですが、
今年は新幹線の車窓から富士
山を見るたびに「登るぞ」とつぶやいたりしていたので、BS日テレの「財部ビジネス
研究所」の収録時に「誰か一緒に富士山に登る人いませんか~」と声を上げたところ、
APの中村くん、MCの山下さんの2名が手を挙げてくれまして、仲間と楽しく登ること
ができました。
午前11時に山梨・吉田ルート五合目をスタート。高山病対策でゆっく
りと登り、夕方4時には7合目の山小屋「東洋館」に到着、多くの山小屋の夕食はカ
レーなのですが、ここはハンバーグ定食。美味しく頂いた後、仮眠を取り(ぎゅうぎ
ゅう詰めで眠れませんでしたが)夜中12時に満天の星の下、山頂に向けて出発。明け
方4時半には富士山頂につきました。あとはぶるぶる寒さに震えながら日の出を待ち、
5時には素晴らし御来光を見ることができました。岩場をがしがしよじ登り、砂利道
を滑り降り、地上は猛暑、山頂は真冬の気候となかなかハードではありましたが、最
後まで元気に登山を楽しむことができました。ただ、山頂の山小屋はひどかった。完
全に殿様商売、客あしらいが的屋風でかなり残念。ゴミ問題以前にあれをなんとかし
ないと世界遺産は難しいのではという感じすらしました。。。
次回はもう少しきつい、静岡・富士宮ルートを登ってみたいと思います。(内田裕子)
沖縄での打合せ
2012/08/30
沖縄に来ています。9月12日に東京ビックサイトで行われる国際物流総合展が開催されるのですが、
その中のパネルディスカッションでモデレーターを務めさせて頂くことになりました。
そのイベントの顔合わせ、打ち合わせのために関係者全員が沖縄県庁に集まりました。
沖縄県と全日空がコラボレーションして、那覇空港を利用したアジアハブを展開し、
アジアの中でダイナミックな物流を実現しようという取り組みについては、以前、ハーベイロードウィークリーや
『財部ビジネス研究所』(BS日テレ)でもお伝えしたと思います。
日本各地からだけでなく、アジア主要都市からの荷物が那覇に集まり、スピーディーに載せ変えて目的地に飛び立っていく様子は圧巻です。夕方出した荷物が翌朝にはアジア各地に着いているので、
那覇がアジア物流の重要な拠点になる可能性を大いに感じるわけですが、
そのコラボレーションにヤマト運輸が参加したことで、アジア各地への陸上輸送までネットワークが広がりました。
これは荷主にとって安心感が増すばかりでなく、アジアビジネスの様々な可能性が出てくるはずです。
興味のある方は12日のイベントに是非ご参加下さい!(内田裕子)
今年のゴールデン・ウィークは!
2012/04/27
いよいよゴールデン・ウィークですね。
ランニングして、プールで泳いで、本も読んで、原稿も書いて、隅々まで掃除をしてと、
ふらり旅行なんかもいけたら良いなと、あれもやりたい、これもやりたいで、
頭の中がいまからパニックしています。
今、『銃・病原菌・鉄』を読んでいます。
本著はピューリッツァー賞作家のジャレド・ダイアモンドとニューギニアの政治家との対話で始まります。
「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、
私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。
それはなぜだろうか?」
人類発祥の地がアフリカであるならば人類として優位性を持っているはずで、
それならばなぜアフリカ大陸の人たちがヨーロッパやアジアを征服するということにならなかったのだろうか、
という疑問に対して著者が答えを導き出そうと試みています。
まだ上巻ですが大変面白いので、GWの読書にお勧めします!(内田裕子)
今年は本を出すことができました
2011/12/30
今年はおかげさまで本を出すことができました。
『負けない投資~経済ジャーナリストの実践術』(PHPビジネス新書)です。
「投資の本を書いてみてはどうか」という話を頂いたのが数年前のこと。
気軽に引き受けたものの、そこから悩む日々が続きました。
証券会社でトレーディングも経験し、投資のことはわかっているつもりでしたが、
文章にしてみるとリアリティがない。
「投資の専門家」ではない私には不向きなテーマではないか?
そんな時「ジャーナリストにしか書けない投資の本があるだろう」と師匠の叱咤激励があり、
なんとか書き上げることができました。
「なぜ今投資が必要なのか」に始まり「株価ではなく価値を買う」
「価値あるものを安い時に買う」「時間を味方につける」「手に汗を握らない」等々、
負けない投資について分かりやすく書いたつもりです。
特に「投資には無縁だ」と思い込んでいる若い人に読んでいただきたい本です。
来年は新興国の取材をベースにした本を書きたいと思っております。
来年も“現場主義”で、BS日テレ「財部ビジネス研究所」や講演会等で
「リアリティ」「価値」のある情報を提供できるよう精進して参りたいと思います。
来年もよろしくお願いいたします。(内田裕子)
チョコレートは誰のため?
2011/02/22
日本のスイーツの進化は目覚しいものがあります。
デパートの地下にある食品売り場に行くと、
ガラスケースの中に綺麗に並べられた何百種類ものお菓子を目にします。
中には芸術作品とみまがうような手の込んだ装飾のケーキもあり、
買い物中に思わずうっとり眺めてしまうことがよくあります。
新製品投入のスピードも凄まじく、デパ地下を訪れるたびに、
新しいスイーツを発見することができます。
人気店では常に行列ができているので、たいてい場合、購入するのをあきらめることになりますが、
その行列が落ち着いたころには、また違うお店に行列ができています。
日本のスイーツは質も種類も洋菓子の本場フランスを超えていると言われていて、
日本人は世界最高のスイーツを日ごろから食べていることになるのです。
じつはハーベイロード・ジャパンの事務所があるビルの隣にも高級洋菓子屋があります。
有名なフランス人パティシエのお店で、ブティックのようなしつらえになっています。
男性だと3口ほどで食べ終わってしまいそうな小ぶりのケーキが600円もするのです。
牛丼業界が生き残りを掛けて200円台の攻防を繰り広げている一方で、
著名なスイーツ店はほくほくの状態。
なんとも複雑な消費活動が東京では行われています。
これは先日のバレンタインデー前の連休に銀座三越に行ったときのことですが、
珍しく東京で雪が降った日だったので、みんな外出を控えるだろうと思い、
ゆっくりと買い物ができることを期待してでかけてみましたが予想は見事に外れました。
デパートは買い物客でごった返しており、厚着をして来たことを心から後悔しました。
言うまでもなくお菓子フロアの人出は凄まじく、
多くの女性が熱心にチョコレートを選んでいました。
その姿を眺めながら、日本の女性は健気でよいなと感心していたのですが、
それは少し理解が違っていたことがあとになってわかりました。
最近は「友チョコ」といって、女の子同士でチョコレートを交換するのがはやっているのだそうです。
お互いがプレゼントしたチョコレートをその場で見せ合って
「かわいい」と褒め合いながら一緒に食べるのが楽しいといいます。
それだけではありません。
究極は「自分チョコ」。
バレンタインデーは頑張っている自分に何千円もする高級チョコを贈るという日に
変化しつつあるという実態もわかりました。
やはり日本人(女性)のスイーツ好きは筋金入りと言えますね。(内田裕子)
音楽を詰め込んで・・・いざ!
2010/12/03
ホノルルマラソン用の「iPod shuffle」完成しました。
以下の曲を詰め込みました。
曲を御推薦くださった方、本当にありがとうございました!
このリストを見ているとぐんぐん走れちゃいそうな気になってきます。
(もちろん現実は厳しいのですが・・・)
42.195キロ、のんびり楽しんできますね!
序曲「Violin Concerto #3」 Wolfgang Amadeus Mozart
序曲「Violin Concerto #5」 Wolfgang Amadeus Mozart
1.「Beyond The Century」 Adiemus
2.「By the Way」 Red Hot Chili Peppers
3.「Dreams」 The Cranberries
4.「Venus」 Bananarama
5.「Runner」 爆風スランプ
6.「Love2000」 hitomi
7.「Man On The Moon」 R.E.M.
8.「Clair」 Gilbert O'Sullivan
9.「瞬間センチメンタル」 SCANDAL
10.「Wouldn't It Be Nice」 The Beach Boys
11.「Pride」 U2
12.「The Song Remains The Same 」 Led Zeppelin
13.「トレイン」 ケツメイシ
14.「Viva La Vida」 Coldplay
15.「Blowin' In The Wind」 Bob Dylan
16.「Don't Stop Believin'」 Journey
17.「希望の轍」 サザンオールスターズ
18.「Spain」 Michel Camilo
19.「I Feel The Earth Move」 Carole King
20.「Jumpin' Jack Flash」 The Rolling Stones
21.「Long Train Runnin'」 The Doobie Brothers
22.「マイフレンド」 ZARD
23.「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」 エレファントカシマシ
24.「Burn」 Deep Purple
25.「Light My Fire」 The Doors
26.「Synchronicity I」 The Police
27.「Every Breath You Take」 The Police
28.「Time After Time」 Cyndi Lauper
29.「JODY」 山下達郎
30.「Waiting For You」 Ben Harper
31.「Hotel California」 EAGLES
32.「イノセント・ワールド」 Mr.Children
33.「Losing My Religion」 R.E.M.
34.「Nightswimming」 R.E.M.
35.「Piano Concerto #1」 Johannes Brahms
36.「ルパン三世のテーマ '78」 大野雄二
37.「Save The Best For Last」 Venessa Williams
38.「Shy Guy」 Diana King
39.「Highway Star」 Deep Purple
40.「Be Quick Or Be Dead」 IRON MAIDEN
41.「We Will Rock You」 Queen
42.「The Show Must Go On」 Queen
43.「Eye of the Tiger」 Survivor
44.「暑中見舞い」 エレファントカシマシ
45.「R 2 The A」 CJ Lewis
46.「Power of Love」 Huey Lewis and The News
47.「Never Can Say Goodbye」 Gloria Gaynor
48.「It's A Sin」 Pet Shop Boys
49.「太陽にほえろメインテーマ」
50.「A Perfect Sky」 Bonnie Pink
51.「負けないで」 ZARD
52.「Do You Hear The People Sing ?」 Les Miserables
53.「Everybody Hurts」 R.E.M
54.「Inaudible Melodies」 Jack Johnson
55.「One more time, One more chance」 山崎まさよし
56.「With or without you」 U2
57.「Beautiful Day」 U2
58.「Go West」 Pet Shop Boys
59.「Shout」 Tears For Fears
60.「Anarchy In The UK」 Sex Pistols
61.「ああ人生に涙あり」 水戸黄門テーマ
62.「You Really Got Me」 The Kinks
63.「Street Fighting Man」 The Rolling Stones
64.「Immigrant Song」 Led Zeppelin
65.「Let's Spend The Night Together」 The Rolling Stones
66.「Sympathy For The Devil」 The Rolling Stones
67.「Are You Gonna Go My Way」 Lenny Kravitz
68.「It's So Easy」 Linda Ronstadt
69.「Ain't No Mountain High Enough」 Diana Ross
70.「ヒットチャートをかけぬけろ」 スガシカオ
71.「High And Dry」 Radiohead
72.「TRAIN-TRAIN」 THE BLUE HEARTS
73.「Not Fade Away」 The Rolling Stones
74.「プレイバックPart2」 山口百恵
75.「夢をあきらめないで」 岡村孝子
76.「I Still Haven't Found What I'm Looking For」 U2
77.「Where The Streets Have No Name」 U2
78.「Universally Speaking 」 Red Hot Chili Peppers
79.「空と君のあいだに」 中島みゆき
80.「Can't Take My Eyes Off You」 Boys Town Gang
81.「symphony #9 Ⅳ-Allegro con fuoco」 Antonin Dvorak
※ご推薦いただいた曲の中で、オンラインで販売していなかったり、
CDがレンタル中で手に入れられなかったものが数曲ありました。
せっかくツイートしてくれたのにすみませんでした・・・
(内田裕子)
42.195キロの音楽、中間発表!
2010/11/20
ホノルルマラソンまであと3週間となりました。
どきどきです。
聞きながら走るiPod shuffleの編集をそろそろやらなきゃ、と考えていた時に、
Twitterで「走っている時って、みんな何を聞いているの?」と、
つぶやいてみたら、たくさんの方から音楽を推薦してもらいました。
ありがとうございます。
その中間報告です。知っている曲、知らない曲いろいろあって楽しみです。
順番にダウンロードしていきます。
約5時間分なので、ぜんぶで60曲くらいでしょうか?
古今東西、長短緩急、老若男女、ソログループ、歌詞ありなし、問いません。
良い曲をご存知でしたら、御推薦くださいね!
よろしくお願いします。
1.「Runner」 爆風スランプ
2.「TRAIN-TRAIN」 THE BLUE HEARTS
3.「負けないで」 ZARD
4.「瞬間センチメンタル」 SCANDAL
5.「The Song Remains The Same 」 Led Zeppelin
6.「トレイン」 ケツメイシ
7.「Dani California」 Red Hot Chili Peppers
8.「Viva La Vida」 Coldplay
9.「Why not」 Michel Camilo
10.「ピアノコンチェルト1番」 Johannes Brahms
11.「Ain't No Mountain High Enough」 Diana Ross
12.「マイフレンド」 ZARD
13.「Shy Guy」 Diana King
14.「Save The Best For Last」 Venessa Williams
15.「希望の轍」 サザンオールスターズ
16.「Be Quick Or Be Dead」 IRON MAIDEN
17.「Light Infection」 Prague
18.「Eye of the Tiger」 Rocky III
19.「JODY」 山下達郎
20.「R To The A」 CJ Lewis
21.「Never Can Say Goodbye」 Gloria Gaynor
22.「Power of Love」 Huey Lewis and The News
23.「Break Me Into Little Pieces」 Hot Gossip
24.「太陽にほえろメインテーマ」
25.「ああ人生に涙あり」 水戸黄門テーマ
26.「Clair」 Gilbert O'Sullivan
27.「A Perfect Sky」 Bonnie Pink
28.「ルパン三世のテーマ」 大野雄二
つづく。。。(内田裕子)
チャイナドリーム、若き日本人たちの成功
2010/11/01
アメリカンドリームという言葉がありました。
大成功を夢見てアメリカに渡った日本人が沢山いましたが、
今、アメリカンドリームという言葉がとても色あせた印象を私達に与えるのは、
アジアの時代が本格的に始まった証拠かもしれません。
日本の貿易総額のシェアを見ると1990年には、27.4%あったアメリカとの貿易は現在13.5%に下落。
一方、中国は1990年には3%だったのが、2009年には20.5%、
台湾、香港、シンガポールを含めた大中華圏という括りにすると30%にもなり、
日本の一番の取引相手になっています。
良くも悪くも日中はのっぴきならない関係になっているのですね。
中国で人気を博している「日式イタリアンレストラン コラボ」は私が7月に取材したものですが、
上海で成功している日本人経営の飲食店にスポットを当てたくて企画提案をしたものです。
BS日テレ「財部ビジネス研究所」で来年放送予定です。
(尖閣問題、反日デモ等で、現在放送延期になっております)
日中の関係が問題になっている今でも、上海で中国人を相手に坦々と(耽々と?)商売をして、
チャイナドリームを実現している若き日本人達がいます。
実に頼もしい限りであり、応援したいものです。(内田裕子)
※
『内田裕子が現場に走る~中国を感じる』(株式会社ペルソン)にて
「日式イタリアンレストラン コラボ」についての原稿を書いています。ぜひお読みください。
ホノルルマラソン その3
2010/08/13
ホノルルマラソン当日。ワイキキの朝は早い。
朝5時のスタートに備え、遅くても3時にはベットから出ます。
余裕を持って身支度を整え、ゆっくり、しっかりと炭水化物をかみしめていると、
徐々に走る気持ちになっていきます。
スタート地点は日本人にお馴染み、アラモアナショッピングセンターの横。
夜明け前、あたりはまだ真っ暗な朝4時。
ホテルを出発すると、ワイキキのあらゆるホテルの玄関から、
胸にゼッケンをつけたランナーがわらわらとでてきます。
参加者およそ2万5千人すべてがスタート地点を目指して歩いているのです。
凄まじい数の人間が暗闇の中、言葉少なに、ぞろぞろぞろぞろ、
同じ方向に向かって行く様子は、はっきり言って異様です。
そこに、応援の人も加わってアラモアナ通りは人で埋め尽くされます。
スタート地点に到着すると、とにかくこの人の多さに圧倒されてしまいます。
スタートが近づくにつれ、ランナーもだんだん興奮状態になってきますので、
こちらも雰囲気に飲まれそうになってしまいます。
グループで参加するランナーたち歓声が上がる度にきょろきょろとしてしまい、
気持ちが落ち着つかなくなってきます。
でもここは冷静な気持ちになって、自分のスタートポジションを決めることに集中します。
路肩の石に乗っかって前方を眺めてみると、
スタート地点までまだだいぶ距離があることがわかります。
このまま、ぼんやりと最後尾についていたら、
スタートラインを超えるまで数十メートも余分に走らなければならなくなります。
もう少し前に行こう、と、ランナーの間をするすると抜けて、できる限り前に進みます。
そして5時ちょうど。
ドン、ドーンという打ち上げ花火の爆発音が響きわたり、
ワイキキの夜空がぱっと明るく輝きます。
大歓声が上がる中、ランナーがスタートします。
スタートしてしばらくはワイキキの街中を走ります。
クリスマスのイルミネーションが輝くカピオラニ通りからカラカウア通りを進んで、
そのままカピオラニ公園の横を走りぬけます。
そして最初の難関、ダイヤモンドヘッドへ。
ここで張り切りすぎると後がきつくなりますので、なるべく力を抜いて登ります。
このあたりで日が昇りはじめて、空が明るくなってきます。
勾配がきついダイヤモンドヘッドロードをようやく下り終えたら、
そこは高級住宅地カハラです。
地元住人が家の外に出て、温かい声援を送ってくれます。
その声援に後押しされるように、勢いよくハイウェイに乗っていきます。
このハイウェイをハワイ湾までひたすら東へ走り、同じ距離を戻ってくるのです。
このハイウェイがじつに長い。景色も変わりませんし、
気温もどんどん上がり始めてきますので、とにかくつらいのです。
初めての参加だったので、どう走ってよいものやら、力の配分などまったくわかりません。
ただ、後半がきつくなることだけはわかりっていたので、
とにかく最初から飛ばしすぎないように、それだけを気をつけました。
今回、ホノルルマラソンを走るまえに心に決めたことがありました。
「止まらない」
「歩かない」
これは、フルマラソン経験者に「一度とまったらなかなか走り出せないものだよ」と
アドバイスをもらっていたからです。
「給水の時もとまらないように」と、走りながら水を飲む方法も教えてくれました。
うーん、そんなことできるのかな、と不安になりながらも、
その目標を持ってのぞむことは面白いかもしれない、と思いはじめました。
「よし、止まらない、歩かない。やってみよう」
42.195キロは長い道のりです。
オリンピックのマラソン選手は2時間ちょっとで走ってしまいますが、
一般のランナーは4時間~6時間程度掛かります。
6時間走り続けるってどんなことになるんだろう。
楽観的な私がまず想像したことは、「きっと退屈するだろうね」。
だって6時間もひとりぼっちで足を前にだしているだけなんですもの。
これは音楽を聴きながら走ったほうがよさそうだな、と、
大会前日になってiPodを持って走ることに決めました。
これは結論から言うと大正解でした。
iPodはお気に入りのトップレートをつけた曲だけがかかるように設定しました。
これが、本当に楽しかった。
ダイヤモンドヘッドに差し掛かる前、海から優しい風が吹いてきて、
ああ、気持ちがいいなあと思っていると、
ボブ・ディランの「ブローイン・イン・ザ・ウィンド」が流れてきたり、
ハイウェイを調子よく走っていときに
ディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」が流れてきたり、
30キロ過ぎてみんなが疲れ果ててハイウェイをとぼとぼと歩き始めた時に
REMの「エブリバディ・ハーツ」がかかったりと
(タイトルもさることながら、このミュージックビデオご存知の方、わかりますよね)。
いよいよ息も絶え絶えの40キロ近くになったときに、
U2の「プライド」で励まされたり。
強烈な暑さで、本当に苦しい中なのに、
「ぷっ」噴出してしまうような場面が何度かありました。
音楽って本当にすごい。
このおかげで、当初の目標「止まらない、歩かない」を達成することができた
と言っても過言ではありません。
アバの楽曲でつくったミュージカル「マンマ・ミーア」のサントラ内の曲、
「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」が流れてきたときには、
本当にそうよね、と、ふんふんうなずきながら走っていました。
それでも、35キロを過ぎになると、足に感覚がなくなってきて、
まったくコントロールできなくなります。
そのときには「足を前に出すこと以外に、今の私に何ができるというの」と
繰り返し、繰り返し自分に言い聞かせて、とにかく前に進む、
それだけを考えていったのです。
極限状態の中、足を引きずるように走っていると、
沿道のスタッフから「あと少し」と声が掛かります。
ゴールのカピオラニ公園です。
遠くにフィニッシュ、と書かれた横断幕が見えて来ました。
もう、胸が熱くなって、涙が溢れてきました。
でも、ご存知でしたか?
泣きながら走るのって、とっても苦しいんです。
あやうく呼吸困難になるところでした。
「あっ、無理無理。泣いてる場合じゃないや」と、すぐに涙を引っ込めて、
再び、「足を前に出すこと以外に、今の私に何ができるというの」を
つぶやくことにしました。
そんなもうろうとした意識の中でも、昔、宿泊したことがある
「カイマナビーチホテル」の横を通りすぎるときには、
「ああ、懐かしいなあ、ここはリーズナブルで良いホテルだったなぁ、
1階のハウツリーラナイは最高だった!」なんて考えていたりするのが、
なんとも不思議だったりします。
でも、やはりそこでも頭をふるふると振って、過去のことなんてどうでもよい。
今は前進あるのみ、とにかくフィニッシュするのだ!
そう言い聞かせてゴールを目指しました。
そしてフィニッシュ!
5時間18分。
完走者20557人中、7765位
女性では10048人中、2760位
目標タイムの6時間を大きく上回って、初のフルマラソンを走り終えました。
「よく頑張ったね」
ゴールでは師匠の財部さんが温かく、迎えてくれました。
暑かった、苦しかった、ちょっと楽しかった、そして嬉しかった。
そんなホノルルマラソンでした。
今年?
もちろん参戦します。
目標は5時間を切ること!(内田裕子)
(ようやく、完)
ホノルルマラソン その2
2010/04/22
ホノルルマラソンが始まったのは1973年。
最初の参加者は167人だったということですから、
地元のジョギング愛好家のための小さな大会だったのですね。
それが、時を経て37回目を迎えた今回、参加者は23,469人にまで増え、
いまやニューヨークシティマラソン、ボストンマラソン、シカゴマラソン、と並んで
アメリカ4大マラソンに数えられる大イベントとなりました。
なぜ、ホノルルマラソンがそんなに人気なのか。
多くのマラソン大会には制限時間があるのですが、ホノルルマラソンにはありません。
これは初心者ランナーに多大なる安心感をあたえます。
長い時間、交通規制を引いていることができない都市部での大会は、
だいたい制限時間が6、7時間で設定されます。
そのペースで走れない人はレースを断念せざるを得ません。
でも、ホノルルマラソンは違います。
日が暮れて最後のランナーがフィニッシュラインを越えるまでスタッフが待っていてくれるのです。
これはありがたいこと。
ですから、ホノルルマラソンはフルマラソン初挑戦ランナーがことのほか多いのです。
あとは、なんと言っても場所がハワイです。癒しの島・ハワイ。
本番だけではなく、レース後、極限まで疲れた身体をのんびりとハワイに委ねて、
その滋養効果をフルに堪能する楽しみも待っています。
そんなことで、ハワイ好き、マラソンも好き、という人だったら
迷うことなくホノルルマラソンを選ぶわけなのですね。
ホノルルマラソンの期間、現地の人たちもお祭り気分です。
レース前、ワイキキのお店では「マラソンに出る人はTシャツ20%OFFよ」と
緊張しているランナーを笑顔にさせたり、
レース後、Finisher'sTシャツを着ている人に「CONGRATULATIONS!」と気軽に声を掛けたり、
ブランド店では完走者にシャンパンを振舞っていたり。
(もちろん買い物をしたお客さんに!)
街中でホノルルマラソンを楽しんでいるのです。
この明るさ、気軽さでホノルルマラソンはどんどん参加者を増やしていき、
「世界一の市民マラソン大会」と呼ばれるまでの大会になっていったのです。
でも、驚いてしまったのは参加者のうち半分以上が日本人だということなのです。
その数なんと14,402人。
すごい数です。
日本からホノルルマラソンに参加しようとすると、
参加費1万5千円、飛行機代とホテル代で安くても一人15万円以上はかかります。
これが14,402人となると、単純計算で25億円以上のお金が使われることになります。
・・・。
冷静に考えるとこれは奇妙なことにも思えます。
ものすごく苦しいことを体験するために、多大なるコストと時間をかけて
わざわざ日本から14,402人もやってくるのですから。
アスリートならともかく一般市民ランナーレベルの人間が
こんな贅沢なことをやっている国は恐らく日本だけだと思います。
ホノルルマラソンに限ったことではありません。
米国4大マラソンだけでなく、ゴールドコーストとか、プーケットとか、
世界のマラソンレースを巡っている日本人ランナーが増えています。
海外だけでなく、お休みの日の皇居ランナーの数はすごいです。
皇居見物に来ている外国人観光客が熱心なランナーを見て驚いていますもの。
もともと日本人はマラソンが好きです。
オリンピックやお正月の駅伝など、
レースの最初から最後までじっとテレビ中継を見守るのは日本独特の風景だそうです。
それがいまでは見ているだけでは飽き足らず、大勢の日本人が実際に道を走り出しました。
これはなぜだろう、と考えてみました。
豊かな日本。でも閉塞感漂う日本。
やる気はあるのに、何かに頭を抑えられて実力を発揮しきれない。
達成感を味わえない。
もっと確かなものを実感したい。
そんな社会背景が少なからず影響しているのかなと感じます。
努力をすれば必ず報われる、という言葉が、
残念ながら以前のように説得力を持たなくなってきました。
自分の頑張りとは無関係に、経済環境の暴力的な変化によって、
人生の計画が狂わされるというケースも見られます。
大学生の就職活動の厳しさなどはまさにそれで、
悲壮感漂う学生の姿を見ていると本当に気の毒になります。
社会全般を見ても夢を見出すのが難しくなっています。
いまだ既得権益にしがみつく大人が大勢いますし、
会社組織を眺めたらポストは順番待ちで詰まっています。
だからといって組織を飛び出して独立・起業なんていう冒険も、
社会からは歓迎されない。
組織もお金も人の心も、何もかもが硬直化して、
日本のやる気は行き場を失い、形にならず、
宙をさまよっているように感じます。
ホノルルマラソンに参加している日本人は
お金と時間に余裕がある40代以上が多いのかなと調べてみたら、
実際は若い人が半数を占めています。
特に女性の参加者が多い。
このあたりが日本の閉塞感を一番感じている層なのかもしれません。
閉塞感に飲み込まれないように。
やる気をなんとか形にしたくって。
自分の実力を真正面から確かめたくて。
そんな理由でフルマラソンにチャンレンジする人が増えているのかなと推測したりします。
ランニングは裏切りません。
走ったぶんが確かな成果として身体に蓄積されていきます。
レースに出ればタイムや距離という具体的な数字で自分にフィードバックされます。
目標をクリアすることができれば自分への信頼感が高まり、
それは様々な場面においての自信につながっていきます。
このようにレースはとても純度の高い達成感を得ることができるのです。
ひと昔前は、そうした達成感を生活の中で自然に味わうことができました。
過去、NHKで放送していた「プロジェクトX」を見るとそれがわかります。
昭和の経済成長期は国民みんなで「豊かさ」というゴールを目指してマラソンをしていたようなものでした。
でも、残念ながら、今の日本では目指すべきゴールを見つけられず、
純度の高い達成感を味わう機会が失われつつあります。
不確かな日本。確かなものを手に入れたい。
ホノルルマラソンにやってくる14,402人はそんな人たちなのではないでしょうか。(内田裕子)
(ホノルルマラソン その3へ、つづく)
ホノルルマラソン その1
2010/02/05
「何をわざわざ自分からそんな苦しいことをしなくちゃいけないの?」
そう思うものコンテストがあったら、栄えある№1に輝くのはフルマラソンかもしれません。
フルマラソンレースに参加すると言うと、ほとんどの人が「ええっ、凄いですね」と本気で驚いてくれます。
そして、首を振りながら、「いやー、42.195キロなんて、自分にはとても無理ですわー」(なぜか関西弁!)と手をぱたぱたと振ってくれます。
九分九厘この反応ですから、フルマラソンというものが、
多くの人につらい競技として認識されているということが分かりました。
でも、実際フルマラソンはつらいですよ。
つらいというよりは、痛い、と言ったほうが正確かもしれません。
痛いのはもちろん足なのですが、日常生活では体験できない種類の特別な痛みといえます。
いうなれば足の先からじわじわと錆付いていく感じと言いましょうか。
しびれながら重く固まっていく足を、なんとか交互に出しながら、
「これ、もし止まったら二度と走り出せなくなるな」ということを感じていました。
「止まったら終り」
そう分かったら答えは簡単。もう迷いはなくなりました。
「絶対に止まらない」
そうつぶやいて両手をぐっと握り締めたあと、
iPodのダイヤルをカチカチっと右に回しました。
ボリュームの上がった音楽が鼓膜を刺激して、身体がリズムに反応する。
錆び付いた足がいくぶん軽くなる。
アスファルトの呪縛から開放された気になりました。
ホノルルマラソン。
1年前にランニングを始めた頃から、いつか出たいと冗談半分で言っていました。
フルマラソンどころか、ハーフマラソンにも出たことがなかったので、
そんな戯言を誰も本気で聞いてはいませんでした。
ところがレース当日12月13日にホノルルにいることができるとわかった瞬間、
ぱっちん、と、本気スイッチが入りました。
そこからの行動は早かった。
ホノルルマラソンのオフィシャルサイトにアクセスして申し込みをした後、
貯まっていたマイレージを使ってホノルル行きの飛行機を予約しました。
「えっ、本当に出るんですか、ホノルルマラソン」
と、驚くスタッフの市川を横目に、1万5千円の参加費をネットバンクから振り込んで終了。
決断から手続き終了まで15分もかかりませんでした。
自分らしい。
そういわれれば、そうかもしれません。
「冗談で言い始めたときには、もう決めているんだよ、内田さんは」
師匠の財部誠一はそういって笑います。
10年一緒に仕事をしている財部さんが言うのですから、
恐らくその通りなのでしょう。自分のネイチャー。
走り始めてちょうど1年。
長くても15キロ程度の距離しか走ったことのない、ただの素人ランナーです。
42.195キロは過酷だ、といくら言われても、こちらは想像するしかありません。
しかし、めいっぱいの想像力を使って「うわ、こりゃ過酷だわ」と思ってみても、
足は少しも動いていないわけですから、トレーニングになるはずもありません。
周囲からの「ホントに走れるのー」的、冷ややかな視線を浴びつつ、
だぶん大丈夫!
だと、思う。
おそらく。
えっと、完走はできるんじゃないかなぁ。
ほら、ホノルルマラソンって時間制限ないしさ・・・。
このような感じで、自信があるのかないのか、まったくわからない反応を、
ふにゃふにゃと見せていました。
でも、自分がフィニッシュラインを走り抜けるイメージは浮かんでいました。
こういうときは、だいたい成功するのが私のパターンです。(内田裕子)
あけましておめでとうございます
2010/01/15
2009年をあらためて振り返って見ると、結果的に「チェンジ」をしたのは
アメリカではなく日本だったような気がします。
日本の借金を雪だるま式に増やしてきたシステムの実態が明らかになり、
国民が怒りの力で実現した政権交代劇はなかなか見応えがありました。
国民の期待を一身に受けて新政権が誕生したものの、
その後の政権運営は危なっかしいばかりです。
テレビで話題になった「事業仕分け」を私も見に行きました。
予算編成作業の公開という点は素晴らしかったのですが、
大山鳴動して、削減できたのはわずか7000億円。
財政悪化は進み、その上、成長戦略なし。
不安だらけの民主党政権です。
しかし、まずは国民の税金が知らないうちにネコババされる仕組みに
ストップが掛かったということは喜ばしいことです。
大切なのは10年、20年先の日本の将来を見据えて今を考えるということなのでしょうが、
アジアの新興国は凄まじい勢いで変化し、日本に追いつけと急成長していますから、
あまり悠長なことも言っていられません。
今年もアジアの「チェンジ」をしっかりウォッチして情報提供をしていきたいと思っています。(内田裕子)
タスキを繋ぐ、ってよいですね その2
2009/12/07
11月7日(土)東京・立川の昭和記念公園で開催された「EKIDENカーニバル」に出場してきました。
TBLランニングチーム4人でのエントリーです。
今回はTBLで財部誠一とともにMCを勤めてくださっているリサ・ステッグマイヤーさんが
初参戦してくださいました!
感激です。
レース前にリサさんと
リサさんは、日本トライアスロン連合の国際広報委員をされていて、
メジャーなレースにはほとんど参戦されている「トライアスロン界のクイーン」。
スイム、バイク、ランとすべてにおいてハイレベルのタイムをたたき出す、
男子もびっくりの本格派トライアスリートです。
「この前、ちょっと山梨まで自転車で走ってきたの」
「やまなし? やまなし!」
こんな感じで、もう、めちゃめちゃかっこいいんです。
このように本格的に取り組まれているリサさんに今回、メンバーに加わってもらえることになり、
TBLランニングチームにはぐっと気合が入りました。
「半端な走りは許されない・・・」
本番に向けて、メンバーはいつにも増して走りこみを始めました。
良い感じです。
今回のエントリーは、リサさんと、TBLのディレクターである大川剛史さん、
アシスタントプロデューサーの中村篤史さん、そして内田裕子の4人。
大川さんは高校時代バスケットボール部のキャプテンで、スノーボードはセミプロ級という噂。
TBL特集「ニッポンの宇宙開発」の取材でH2Bロケット打ち上げを撮影するため、
一緒に種子島に行きました。
TBLには欠かせないディレクターです。
中村さんは立命館宇治高校出身で、こちらはサッカー部のキャプテン経験者。
今年1月、千葉マリンマラソンを一緒に走りました。来年の1月も一緒にエントリー済みです。
TBLではリサーチをやってくれていて、重要な仕事をさくさくこなしてくれています。
仕事もスポーツもいけているふたりです。
今回はそのようなメンバーなので、「おっ、タイムが期待できるかも」と、興奮していました。
不安要素は私?と一応気にしながらも、本当はただわくわくしていただけで、本番を迎えました。
第一走者はリサさん10.7キロ
第二走者は内田5.7キロ
第三走者は大川さん3キロ
そしてアンカーは中村さん5.4キロ
この走順でタスキを繋いでいきます。
スタート地点にてTBLランニングチームの4選手
リサさん・筆者・大川さん・中村さん
当日、立川の昭和記念公園には約2500チームが集結しました。
大変なランニングブームです。
応援団を含めたら2万人近くいるでしょうか。もう、人だらけ。ランナーだらけ。
「EKIDENカーニバル」とはよくいったもので、もうお祭りそのものです。
かぶりものや、アニメキャラのコスプレ、完全に仮装が目的になっている人もいます。
牛乳やマヨネーズなんかが必死に走っている姿を見るのは本当に笑えます。
あれはメーカー会社のチームなのでしょうね。
セクシーなランドレ(ランニングドレス)ギャルチームなどは、いい感じで大会に花を添えてくれます。
常連チームはお揃いのTシャツを作ったり、大型テントなどを張って着替えをしていたりして、
こなれている感じ。
TBLランニングチームも負けずにいろいろやりたくなってきました。
神宮外苑EKIDENと同じく、この日も気温が上がって、マラソンには少し暑すぎる陽気。
「ん、苦しいレースになるかな」と少し心配になったのですが、今回は体調も万全。
チームの気合も十分、スタート前から士気はぐんぐん高まってきて、
リサさんと軽くジョグをした後はもう楽しくなって早く走りたい気分でした。
とにかくすごい参加者数なので、タスキを繋ぐのが大変なんですね。
チーム監督の財部さんを始め、応援に来てくれたメンバーが連携プレーを見せてくれました。
携帯電話で「リサさん、そろそろタスキエリアに入るよ」などと知らせてくれたおかげで、
タスキの受け渡しがとてもスムーズに行き、ロスタイムが一切ありませんでした。
みんな思いがひとつになって、結果、なんとメンバー全員が自己新記録を更新したレースになりました!
記録は以下の通り。(タスキ渡しエリアは除く)
リサさん:10.3キロ 48分31秒 519/1204位
大川さん: 3.0キロ 14分25秒 173/1204位
中村さん: 5.2キロ 24分44秒 376/1202位
そして私は5.3キロ 28分47秒 784/1204位ということで、
自分にとっては納得のいくタイムでした。
アンカー中村さんゴール直後。TBLランニングチームは376/1202位。
終わった後は、爽快感、達成感で満たされました。
楽しい、本当に楽しい一日でした。
リサさん、ありがとうございました。是非またお願いしますね。
応援に来てくれた監督の財部さん、忙しい中ありがとうございました。
事務所の市川さん、準備をいろいろありがとう。
リサさんのマネージャーの赤荻さん、沿道での応援、嬉しかったです。
駅伝は本当に楽しい。完全にはまってしまいました!
次回のエントリーはホノルルマラソン。 42.195キロ初体験です!(内田裕子)
タスキを繋ぐ、ってよいですね
2009/11/06
10月18日(日)に“神宮外苑駅伝”に参加しました。
これは4人一組で参加する大会で5キロ×4人で20キロをタスキで繋いでいくというものです。
全国のマラソン大会の情報が掲載されているサイト「Runnet」から
定期的に届くメールマガジンに“神宮外苑駅伝”の情報が掲載されていました。
「あっ、これ出たい」
見た瞬間にそう思って、早速エントリーの準備を始めました。
8月20日のことでした。
じつは11月7日(土)にTBLランニングチームで
「昭和記念公園EKIDENカーニバル」に参戦することがすでに決まっており、
その前にチームを離れて、個人的に「こそれん」(こっそり練習すること)しちゃお、
などと思ってメンバーを募ってみました。
ランニングを始めて1年。
話をしてみると、身近にいるいる、ランナーが。
こんなにも多くの人が毎日熱心に走っているなんて、まったく知りませんでした。
行きつけのヘアサロン、化粧品店のカウンター、前に務めていた会社の同僚、
中学時代の同級生、そして、これまで何度もお食事をご一緒していた方。
「実は私も走っているんですよ」
この1年でこのような会話を何度したことか。
ランニングって、ホント話が弾むんですよね。
自分のトレーニングのコースを紹介したり、レースでのタイムを賞賛しあったり。
もう、楽しい楽しい。
今回はそんな会話の中で見つけたランナーの方に連絡をさせていただきました。
「神宮外苑で駅伝大会があるんですけど、一緒に出ていただけませんか」
「いいですよ!」
今回、ご快諾くださったのは、
・名倉信久さん
・坂元俊英さん
・二階堂慎さん
名倉さんはJR東海・広報部。体育会サッカー部のご出身で運動神経抜群。
坂元さん三井住友銀行・広報部。
大学時代は探検部。東京マラソンなどフルマラソンのご経験者。
二階堂さんは師匠・財部誠一の友人であり外交官の二階堂さんの息子さんで18歳。
テニスとクロスカントリーの選手で5キロを20分ちょっとで走ってしまう。
・・・なんだか凄いメンバーが集まってしまいました。
当日は当然のことながら初めて一緒に走ることになったわけですが、
駅伝、というスポーツが持つ「親密感」というのはすごくって、
何年も前から、ともにトレーニングをしてきた仲間のように感じさせてくれました。
そして、タスキを次の走者に繋いでいく、という責任感、使命感が、程よい緊張感を与えてくれて、
なんともいえない、ハイな気分にチームがなっていったのです。
スタートをして国立競技場を出発、246方向に向かいます。
休日をカフェでくつろぐ人々を横目に、ランナーたちはイチョウ並木を駆け抜けます。
246の手前でUターン。右周りで絵画館の前を通過。
国立競技場に戻っていきます。
これを2周して5キロとなり、次の走者にタスキを渡します。
レースは予想通りみなさん快走してくださいまして、男女混成チーム974チーム中、
371位という好成績でした。
わお♪
私も本当に気持ちよく走ることができまして、
公式タイム4.7キロ25分57秒の自己新記録達成となりました。
(タスキを受け渡す国立競技場内のタイムは出ませんでした)
雲ひとつない秋の青空。
天気予報通りに晴れ渡り、必要以上に気温が上がってしまった日でした。
2周目の後半は正直、苦しかった。
でも、アンカーのゴールと同時に、チームでタスキを繋ぎきった達成感を、
心地よい疲労感の中でしっかりとモノにしました。
無防備で日焼けをしてしまった肌にちょっとも後悔せず、
走ることがもっと好きになった駅伝大会となりました。
そんな心地よい気持ちにさせてもらえたのは、
一緒に走ってくださったメンバーみなさんのおかげです。
駅伝って、楽しいですね。(内田裕子)
国立競技場 千駄ヶ谷門にて
名倉さん・二階堂さん・財部さん・筆者・坂元さん
NYCBと3つのプログラム
2009/11/04
ニューヨーク・シティ・バレエの来日公演を見ることができました。
夢のようなひとときでした。
ニューヨーク・シティ・バレエはロシアのバレエ団のように頻繁に来日しません。
1958年、1988年、2000年、2004年と、これまでたった4回しか日本に来ていないのです。
ですから、今年、公演があることを知ったときにはとても興奮しました。
「あの幻想的な美しい世界をまた体験できる」と。
ずいぶん昔の話になりますが、このバレエ団にはちょっとした思い出があります。
大学生の時、ニューヨーク・シティ・バレエの来日を知らせるチラシを手に入れた私は
嬉しくてしかたがありませんでした。
世界最高峰のバレエ団が30年ぶりにやって来るというのです。
私だけでなく、バレエファンはみんな興奮していたと思います。
ニューヨーク・シティ・バレエの創設者、ジョージ・バランシン。
古典バレエのアンチテーゼとして、見方によれば橋渡しとして、
どこにも存在しなかった新しいモダンバレエをこの世に生み出した振付師です。
バランシンは83年に亡くなってしまいましたが、
来日するダンサーはバランシンに直接師事したダンサー達がほとんどで、
バレエ団にはバランシンの魂がなまなましく残っている状態でした。
「バランシンバレエとは、いったいどんなバレエなのだろう」
チラシを見ながら、想像する毎日でした。
同時に、映画「ウエスト・サイド・ストーリー」の振付で有名になった
ジェーローム・ロビンスの新作も本邦初公開されると書いてありました。
才能あふれる2名のコレオグラファーが率いる、
世界で最も先進的なバレエ団がやってくるのですから、
これを見ないという選択肢など、どこにもありませんでした。
この公演には3つのプログラムが用意されていました。
どれもニューヨーク・シティ・バレエの作品の中では高い評価を得ているものばかりでした。
当然、すべての作品を見たかったのですが、学生だった私にとって、
1万円を優に越すチケットはあまりに高価すぎました。
一番見たいと思った「アポロ」という作品が入っているプログラムを選び、
B席のチケットを買うのが精一杯でした。
ニューヨーク・シティ・バレエ30年ぶりの公演は、NKホールという、
当時、千葉県・舞浜に完成したばかりの劇場で行われ、
バブル経済の象徴のような建物の柿落とし公演でもありました。
初めて訪れたNKホールはたいそう立派な建物として完成していましたが、
バレエを鑑賞するには器が大きすぎました。
B席でもかなり後方の席の私には、残念ながら、
ぼんやりとしたダンサーの姿しか見ることができませんでした。
それでも学生の私にとって、ニューヨーク・シティ・バレエの
モダンで高尚な世界に包まれた満足感は大きく、
それらの作品が放った静謐な大人の香りはじんわりと私の体にしみこんでいきました。
そして、大切な記憶として保存されていました。
2009年10月。
私は再びニューヨーク・シティ・バレエの公演を見に行く機会を手にしました。
チケット発売が開始されたのが5月でしたから、半年も待っていたことになります。
早々に届いたチケットを無くさないように、戸棚に仕舞い込んだり、
どこに仕舞ったのか忘れないように、わざと目に付くところに出してみたり。
そわそわとそんなことを繰り返していました。
そして、チケットの色がほんのすこし変わり始めてきた頃、ようやく彼らが来日したのです。
心浮き立つ3日間が始まりました。
10月10日はCプログラム、11日はBプログラム、そして12日はAプログラム。
すべてマチネ公演でゆっくり鑑賞することにしました。
学生の頃には決してかなわなかった、
ニューヨーク・シティ・バレエの来日公演すべての作品を堪能する
という夢を、今回は実現することができました。
席順はオーケストラピットから数えて3列目。
ダンサーの吐息まで聞くことができる位置でした。
いったい、これ以上、何を求めるというのでしょうか!
最高の気分で3日間の公演を楽しむことができました。
ニューヨーク・シティ・バレエの何がそんなによいのか。
観客をリスペクトする姿勢、でしょうか。
このバレエ団はおそらく観客の思考の高さや感性の豊かさを信じているのでしょう。
哲学的な世界をダンスで展開し、わかりやすいストーリー、
派手なテクニックはほとんどありません。
王子さまもお姫さまも登場しませんし、回転やジャンプを見せ付けて、
客席を沸かせることもしません。
「難しいだろうから、わかりやすくしてやろう」というような、
昨今のメディアにありがちな観客を下に見るような態度は一切見せません。
決して観客に媚びないのです。
ニューヨーク・シティ・バレエのダンサーたちは淡々と"音楽"を身体で表現していきます。
男女が舞台に現れて、静かに、親密に会話をするように身体を動かしていく。
近づいては離れ、また近づき、身体を重ねてはため息がでるような美しさを見せる。
しかし、ダンサーは感情を抑え、極めてクールに作品は進行していく。
男性のダンサーはひとつの音も逃すことなく正確にステップを踏み、
女性のダンサーはまるで羽毛のように宙に浮かぶ。
奇跡のようなシーンが現れて消え、幻想的な世界に観客を引き込む。
透明で清らか、そして儚い。
作品の温度の低さが観客の思考をよりクリアにさせ、作品には深みを与えていく。
しかし、バランシン作品の素晴らしさは作品の終盤にあります。
最後の最後で、振付師はダンサーに体温を帰していきます。
舞台上のダンサー同士はゆるやかに生気を取り戻し、
次第に"人"してコミュニケーションを交し合いながら、
観客にも温かい感情をふいに投げてよこしてくる。
その暖かみは、人が人である限り永遠に求めてやまない、
ふれあいであり、
思いやりであり、気持ちのやりとりなどの、
他者とのたしかな関係性であったりします。
その「人間の本質」ともいえる暖かみをほんの数秒間で表現してしまうのです。
それを受け止めた瞬間、観客は緊張状態から解放されて、
安らかな癒しを体験することができます。
「ああ、そうだよね、人間って」
その気づきから、涙がこみ上げてくることもあります。
作品の完成度の高さに関心するとともに、
ダンスという表現活動が観客に対して成し遂げうる可能性の大きさ深さに心底驚いてしまいます。
そして、このような舞台上でおこなわれる作品温度の転換こそ、
ニューヨーク・シティ・バレエの魅力なのではないかと私は感じるのです。
さて、夢のような3日間。
ニューヨーク・シティ・バレエの古典ともいえる作品から、最新作まで、
すべて素晴らしかったです。
バランシンの古い作品でいうと「セレナーデ」の美しさには言葉を失いました。
新作の「アフター・ザ・レイン」は今回一番のお気に入りとなりました。
ロビンスの「ウエスト・サイド・ストーリー」は優等生のジャズダンス!
ダンサーたちが歌まで歌って、これはこれでとても楽しめました。
もし、愛情をこめて“裏の感想”を言うとするなら「かつて最先端だったバレエ団」と
ニューヨーク・シティ・バレエを形容せざる得ないところもあります。
バランシンとロビンスという2名の天才の置き土産を、繰り返し見せているだけでは、
ロシアのバレエ団と同じになってしまいます。
最近、新しいダンスというとヨーロッパのバレエ団ばかりが注目されていますが、
超一流のダンサーがまだまだ在籍しているニューヨーク・シティ・バレエには、
天才の影をうまいぐあいに振り切ってもらい、
新しいダンスの世界を追求し続けてもらいたいと思います。
そうはいっても、ニューヨーク・シティ・バレエの魅力に取り付かれ、
どうしようもなく好きなことは変わりなく、
次の来日をすでに今から楽しみにしているわけです。(内田裕子)
ウンベラータ・政権交代の夏
2009/08/14
今、観賞植物を3鉢育てています。
今の住まいに引越しをしてから毎年一鉢づつ増やしているのですが、
今回はその中の一つ、フィカス・ウンベラータという植物のお話です。
このフィカス・ウンベラータというのは、ハート型の大きな葉が特徴で、
アフリカが原産の常緑樹です。
ハワイ・カハラでの優しい風に吹かれながらの木陰のお昼寝が忘れられず、
それをどうしても自宅の寝室で再現したくて、大きな植物をずっと探していました。
「あっ、この木だ」
イメージとぴったりあったのが、このフィカス・ウンベラータでした。
出会いから購入までは5分もかかりませんでした。
うちにやってきてからは、期待通りの活躍を見せ、
大きな葉っぱの下に寝転ぶとちょっぴり南国気分を味わせてくれます。
そのフィカス・ウンベラータに、今、異変が起こっています。
うちに来てから半年、元気ですくすくと大きくなっていた葉っぱが、
急速に黄色に変色し始めたのです。
「どうしたの、だっ大丈夫っ?」と話しかけたところで当然返事はありません。
最初はこのまま枯れてしまうのではないかと心配したのですが、
よくよく見ると、それぞれの枝の先端に新芽らしきものが出ていました。
「ああ、良かった。この子は生きようとしている!」
などとホッとして見ていたら、その新芽がもの凄い勢いでふくらみ出し、
次の朝にはかわいらしいみずみずしい赤ちゃん葉っぱが「ぽんっ」と誕生していまし
た。
わあ、かわいいなぁ、などと関心していたのですが、驚くのはそこからで、
その赤ちゃん葉っぱの中にはすでに新芽があって、
その2日後にはさらなる赤ちゃん葉っぱが生まれてきたのです。
「これは・・・」
あとは「マトリョーシカ状態」で、出てくる出てくる、葉っぱが。
それは今日現在も続いているのです。
果たしてこれはいつまで続くのか、観察の毎日です。
それと同時にとても面白いことが起こっているのです。
赤ちゃん葉っぱが一枚誕生するたびに、
古い大きな葉っぱがあっと言う間に黄色くなって落ちていくのです。
最近では、落葉の「ばさり」という音で朝目覚めるくらいです。
新しい葉が生まれたのを見届けて、古い葉っぱは自ら命を絶つ。
なんて潔い良いのでしょうか。
「政権交代ってこと?」
今、フィカス・ウンベラータは新しい木へと生まれ変わろうとしています。
これが自然の摂理なんだな、と鉢植えを前に改めて考えたりするのです。
自然の摂理に逆らって生きている動物は人間だけなんですね。(内田裕子)
ベルリン・フィルのマンボ
2009/05/15
テレビでベルリン・フィルのヴァルトビューネ・コンサート2008を
再放送していました。
毎年6月に行われる野外コンサートです。
ベルリン郊外の森につくられた舞台。
2万人の観客は芝生にシートを引いて、寝そべって演奏を楽しみます。
みんなリラックスしていて、本当に幸せそうです。
とても贅沢ですね。
世界中から観客が集まる大人気のコンサートです。
いちど行ってみたいものです。
さて、重厚で渋い優等生のイメージのベルリンフィルですが、
今回のテーマは「ラテン・アメリカ」。
指揮者はベネズエラ出身、28歳の天才指揮者グスタボ・ドゥダメル。
最高の組み合わせです。
カッコいいドゥダメルの指揮に、ラテンのリズム。
オーケストラも観客も、のりのりです。
それにしてもベルリン・フィルって本当に凄いと思います。
クラッシックの優等生なのに、ラテンの色気もばっちり出せる。
どんな曲でも、どんなシチュエーションでも最高の演奏をします。
どうしてこのオーケストラは他と違うのだろう。
ほー、と感動する中で、一番興奮したのが、
ウエスト・サイド・ストーリーの「マンボ」。
レナード・バーンスタインの名曲ですが、この曲は南米出身のドゥダメルの十八番。
それをベルリン・フィルに演らせて、さびの部分で「マンボ!」と叫ばせてしまうのだから、
これは凄い。もう楽しくてしかたがありません。
喜びついでに、終了後「ウエスト・サイド・ストーリー」のDVDを見てしまいました。
早送りをして体育館でのダンスパーティの場面。「マンボ」のシーンです。
ニューヨーク・シティ・バレエのジェローム・ロビンスの振り付けにのって、
敵対する「ジェッツ」と「シャーク」がダンスを競い合う場面ですが、
このダンスはまったく古くならない。
舞台の初演は1957年、映画の大ヒットは61年ですが、
ダンスシーンという意味では、おそろしい程の高い完成度を見せていて、
この「マンボ」そして、次に控えている「アメリカ」のシーンを超えるものは、
おそらく出てこないのではないか、という気すらします。
ちょっとの隙もない早いテンポのリズムとダンス、熱気あふれる体育館。
トランペットやトロンボーンがはじけるような音を響かせる中で、
トニーとマリアは静かに、深く、確実に恋に落ちます。
ふたりは互いを見た瞬間「探していた人はこの人だ」と理解するのです。
何度見ても美しいシーンです。(内田 裕子)
「ミュージカル」と「群集の熱狂」
2009/03/10
ミュージカルはお好きでしょうか。
歌ったり踊ったりの、あれです。
ミュージカルって、じつに苦手な人が多いですよね。
「あんなものはくだらない」
「おんなこどもが見て楽しむものだ」
そんな理由で一度も見たことがない人もいると思います。
たしかに、そのような内容の薄い作品もあります。
それもかなりたくさんあったりします。
そういうものを最初に見てしまうと、もうミュージカルなど金輪際見たくなくなりますよね。
わかります。
そういう方はお気の毒に思います。
でも、上質なミュージカルはとても感動的であり、見ごたえも充分です。
扱っているテーマも深くシビアなものが多く、
例えば、「コーラスライン」は米国が抱える「病み」が舞台を通じて徐々に明かされていきます。
「シカゴ」は世の中の不正や不平等を客席に訴えてきます。
「キャッツ」はじつは「人間の魂の救済と再生」のお話。
「RENT」は登場人物の殆どが、ドラッグ中毒かHIVか同性愛のどれかという重い作品で、
これはピュリッツァー賞を受賞しています。
ストレートに表現するには、あまりにも現実的、絶望的なテーマだからこそ、
歌ったり、踊ったりで、ようやく人々に広く伝えられるのではないかという、
逆説的な試みがミュージカルの世界では行われていたりします。
素晴らしい作品もたくさんありますので、是非、体験していただきたいと思います。
さて、先日、劇団四季の広報の方から、上演間近の公演のご案内を送っていただきました。
私が演劇好きだということはさることながら、
以前、TBLで「劇団四季のビジネスモデルを探る」というテーマで番組をつくった際に、
代表の浅利慶太氏にインタビューをさせていただいたり、
新しいお稽古場を撮影させていただいたりで、
広報の方にお世話になったことからご縁ができ、ときどきお芝居のご案内をいただくのです。
今回頂いた案内の中に「ジーザス・クライスト・スーパースター」のチラシが入っていました。
「おお、またやるのね」
劇団四季のレパートリーの中でも特に人気のあるこの作品は、
作曲家のアンドリュー・ロイド・ウエッバーと作詞家のティム・ライスという
ミュージカルコンビの出世作です。
これは「キリスト最後の7日間」を描いた作品で、
題材が題材なだけに、71年のブロードウェイ初演当時は大変な物議を醸しました。
キリスト教の団体から「神への冒涜だ」と抗議デモまで起こりました。
たしかに一部にはキリスト教信者が無視できないと思われるシーンがあることも事実でしょう。
しかし、どこの宗教にも属していない、ただの演劇ファンの私は、
素晴しい楽曲と深いメッセージにただただ心を揺さぶられます。
このジーザス・クライスト・スーパースターは映画にもなっていて、
これが私のお気に入りで、ふと思い出した時に見たりします。
見るたびにこの作品の真の主役である「群集」について考えます。
キリストを「救世主」として熱狂的に祭り上げていくのが「群集」ならば、
キリストに十字架を背負わせ、死に追いやったのも同じ「群集」です。
「群集の熱狂」の恐ろしさ。
この映画を見ると、自立した思考を冷静に機能させ続けることへの、
意志や希望や不安から、コンコンと、自分の頭をノックしてみたくなるのです。
このミュージカルは人間の心のまずい部分を、上手に表現しています。
これはユダヤ人云々の話ではなく、ましてや昔のエルサレムの話でもありません。
つい最近も海の向こうで「群集の熱狂」があったばかりです。
TVに映し出された、あの凄まじい熱狂。
いったいこれからどこへ向かうのでしょうか。
そんなことが少しだけ気になるのは、この映画の影響かもしれません。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」
さて、いつ見に行きましょうか。(内田 裕子)
皇居ランニング
2009/02/12
皇居は一周5キロ。
だれが確かめたのかは知りませんが、どうやらそうらしいです。
皇居ランナーはみんなそう信じて走っています。
この距離のキリのよさもあって、特に公式のレースに参加するランナーに、
皇居は人気のランニングコースになっています。
5キロのレースに出場する人は1周。ハーフにでる人は4周。
日々のトレーニングで10キロ走る人は2周。
と、こんな具合に自分の目標やその日のコンディションに合わせて、
みんな好きなように走っているのです。
もちろん皇居ランニングの良さはそれだけではありません。
まず周回コースですからぐるりともとの場所に戻ってこれること。
どんどん走ってしまうとマラソンは帰ってくるのが大変なのです。
その点、周回コースは良いですね。
途中に信号がないこと。
ランニング中に足をとめずに済みますので、気持ちよく走り続けることができます。
皇居ですから緑がゆたかで景色が綺麗。
ランニング後半、呼吸が苦しくなるところで、
千鳥ヶ淵の美しいお堀がいっきに視界にひろがります。
風も清らかで本当に気持ちが良いのです。この場所は私のお気に入りです。
皇居ランナーはもくもくと真面目に走っている人が多いので、
刺激を受けられるのも良いですね。
走っているとき、つい止まりたくなるときもあります。
でも皇居の周回コースには「ここではみんな頑張って走るもんね」的な雰囲気があり、
なんだかんだで一周できちゃうのです。
周回コースなので、前をいくランナーを勝手にペースメーカーにして追いかけても、怪しまれないしね。
でも不思議なのはみんなどこから現れてきて、どこへ帰っていくのか。
着替えはいったいどこで。
神田の銭湯が皇居ランナーで賑わっているという噂は聞きますが
なんだかよくわからないのですよね。
皇居ランニングの謎、です。
でも、集まる目的はみんな同じ。
「少しでも速く、少しでも長く走れるようになりたい」
そういう一期一会の皇居ランニングは、なんとも苦楽(くるたの)しいのです。(内田 裕子)
千葉マリンマラソン
2009/02/06
いよいよ千葉マリンマラソン当日。
千葉ロッテマリーンズのホームである、千葉マリンスタジアムからレースは始まります。
まず気になるのはお天気。
空にはどんよりとねずみ色の雲がたちこめていました。
前日の暖かさとはうって変わって寒い朝でしたが、
心配していた海からの冷たい風はなく絶好のマラソン日和。
この大会のメインレースはハーフマラソン。
その前に3キロ、5キロ、10キロ、親子のレースが行われるのです。
私がエントリーしたのは5キロ。9時半スタートです。
それまでに、参加証と引き換えにゼッケンをもらったり、ストレッチをしたり、
軽く走って体を温めたり、バナナを食べたり(5キロで!)と、
いろいろとやることがあります。
余裕を持って8時半には受付を済ませ、
もらったゼッケンを安全ピンでしっかりとシャツにつけます。
このゼッケンにはICチップがついていて、
ゴールラインにあるセンサーを越えるとタイムが記録されます。
レース後に参加者がゼッケンから外して大会側に返却をすると、
後日、公式タイムと順位が自宅に郵送される仕組みになっています。
最近のマラソン大会はよく出来ています。
あとは疲れない程度にウォームアップをしながらスタートを待つだけ。
初めてのレースなので特に気負いもありませんが、
レースに参加するからには、
やはり目標は持たなければ面白くありません。
目標、30分を切ること。
自己ベストを出すこと。
振り返ると半年前、初めて皇居を走った時。
一周5キロの周回コースを走りきることすらできませんでした。
その次の回、頑張ってなんとか一周走れましたが、
精一杯走ったそのタイムは42分。
最初は苦しくてしかたがなかった一周が、
走っていくうちにどんどん楽になっていきました。
タイムも走るたびによくなっていきます。
こうなると楽しくてしかたがありません。
大会直前のタイムは31分。
これを更新することが今回の目標でした。
さあどうなるか。期待半分、不安半分。
5キロレース参加者スタンバイの場内アナウンスが流れて、
TBLランニングチーム5名はいざスタート地点へ向かいます。
老若男女およそ1500人のランナーがスタート地点に着きました。
9時半。
1500人がじわじわと動きだします。
スタート!⇒ ランナー、一斉に走り出す!
このような状況は現場にはありません。
あれは最前列の本気ランナー達の世界のこと。
後方部にいる市民ランナー達は、ちょこ、ちょこ、としか足を前に出すことができないのです。
そのように大勢でひしめき合い、うごめいているうちに、
少しずつ空間が生まれてきて、
数分後、ようやく自分のペースで走ることができるようになるのです。
後方市民ランナーの世界は想像以上にちょこちょこ状態でした。
そんなざわついた世界から抜け出し、
さあ、本気で走ろうと思った瞬間、衝撃的なことが起こりました。
こっちに向かって走ってくる人達がいるのです。
えっ、何、まさか、まさかね。
それはすでに折り返して来た、本気ランナーの一群でした。
だって、私、ようやく、これから、走ろうって、所、なのにこの人たち、もう、レース、終盤って、こと?
( 、のところは、はあ、はあ、と呼吸)
走りながら、感動していました。
すごい。
すごすぎる。
マラソンってなんだかすごい。
苦しいのに笑い出しそうになる。
抜きつ抜かれつしながら、マイペース、マイペースと自分に言い聞かせる。
いよいよ最後の力を振り絞ってスタジアムへ。
人工芝の鮮やかな緑色が疲労困ぱいの身体になぜかこたえる。
いきなり広がったスタジアムの空間に自分の酸素が奪われたような感じがして、息苦しい。
「あと100mです、頑張って!」という運営スタッフの明るい声が、
逆に私の足もとをおぼつかなくさせる。
これが今のところの私の限界。
ゴールラインの数歩手前で電光時計が10:00を表示した。
タイム、30分09秒。
女子539人中238位。
初めてのおつかい、ではなく、初めてのマラソンは残念ながら目標を達成することはできませんでした。
でも、初めてのマラソンは本当に楽しかった。
だから、お楽しみは次回のレースにとっておくことにしました。(内田 裕子)
完走した!
TBLランニングチーム
左から
清水さん・中村さん・山村さん・谷口さん・筆者
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
2009/01/21
さて、新年早々なのですが、1/18(日)にマラソン大会に参加してきました。
千葉マリンマラソン、5キロの部です。
20年ぶりに長距離を走ってみよう、という気になったのは
2つの理由があります。
ひとつはTBLです。
私がレポーターとして出演しているBS日テレの「財部ビジネス研究所」、
略してTBLなのですが、
この番組で今のマラソンブームを企画として取り上げたことがありました。
その際にミズノのショップを訪ねたのですが、
取材の合間にオーダーメイドのシューズを作ってもらったのです。
専用の計測器で足のサイズを測ってもらったのですが、
自分の足の右と左の大きさが微妙に違っていることを初めて知りました。
カラーやデザインも自分で選ぶことができるのです。
ミズノの横山誠一さんがとても丁寧に対応してくださって、自分の足にぴったりとあった
素敵なシューズ(ネーム入り)を手に入れることができたのです。
お気に入りの“快走シューズ”です。これはお勧めです。
もうひとつの理由は小説家の村上春樹さんです。
『走ることについて語るときに僕の語ること』
このエッセイ集を読んで、すっかり走ってみたくなったのです。
そんなことで、9月から皇居の周りを約週1回のペースで走ってきました。
でも、私が半年近く走り続けられているのは、実はランニング仲間のおかげなのです。
ランニング仲間はTBLのスタッフ4人です。
TBLのスタッフ間でも、取材後ランニング熱が高まっていて、
みんなで話をしているうちに「じゃあ一緒に走ろうか」ということになったのです。
「TBLランニングチーム」の結成です。
そうして1月18日、ついにレース本番を迎えたのです。(つづく) (内田 裕子)
今日から自分のサイトがスタートします。
どうぞよろしくお願いします。
2008/12/30
年末ですね。
財部誠一事務所は26日が仕事納め。
スタッフ全員(財部誠一も!)で大掃除をして、事務所はピカピカです。
気持ちが良いですね。
そんなすっきりとした気持ちで、今年も年賀状を書きました。
お世話になったみなさまに、感謝のひとことを添えて。
今年もたくさんに人に逢い、たくさんお話を聞きました。
年明けすぐに会える人。
しばらくは会わない人。
もしかしたらもうお目にかかれないかもしれない人。
その人の顔を思い浮かべながら。
ずっとお元気でご活躍下さい、と祈りながら。
それでは、よい年末年始をお過ごし下さい!(内田 裕子)