日本の閉塞感が強くなればなるほど、私は強く意識することがあります。これだけ情報が世界を瞬時にいきわたる時代になっても、島国特有の視野狭窄がいっこうに改まらないことです。世界も日本もじつは常時、変化し続けています。一時として同じ立ち居地にはとどまりません。変化はエンドレスに続いているのです。半年も経過したら、世界の現状認識はすべてリセットしなければならぬほど、世界の政治、経済はドラマチックに動いています。しかし日本の政治とマスメディアはそうした変化とは無縁の世界、ガラパゴス島にでもいるかのように進化と切り離された生き方をしてきました。
それでも日本がここまでの発展を遂げてきたのは、激しい国際競争に身をさらしながらイノベーションを繰り返してきた民間企業の存在によります。しかし日本では企業は批判の対象でしかない。誰よりも世界を知り、日本の現状に精通しているのは政治家でも役人でも、ましてやマスコミでもなく、企業の経営者たちです。そんな彼らに肩肘張らずに「今」を語ってもらう。それが経営者の輪です。
(財部誠一)