ベースボールの神様、ベーブルース以外、誰もやったことのない二刀流で、目も眩む活躍をしている大谷翔平選手。大リーグファンはおろか、現役の大リーガーたちをも魅了している。しかしここにくるまで、どれだけ多くの挫折を乗り越えてきたことか。
花巻東のエースとして出場した選抜甲子園大会1回戦では、藤浪晋太郎率いる大阪桐蔭の前に11四球、9失点と大敗。夏の甲子園には出場すらかなわなかった。
大リーグ、エンジェルスにポスティングで行ってからも膝の手術、肘の手術とまともにやれたシーズンはない。そこから大谷選手は完全復活したと思ったら、一気にベーブルースの境地へと駆け上がってしまったのだ。しかも礼儀正しく、優しく、ポジティブな彼の人間性もふくめ“SHOHEI”は米国の社会現象になっている。
スポーツには特別な力がある。
政治も経済もテクノロジーさえも足元に寄せ付けない人間の本源的な力がある。
私は東京オリンピックを楽しみにしている。一番の注目は陸上だ。100mの山縣亮太選手は怪我で苦しんいる間にライバルたちが次々に9秒台を出した。それでも今年6月に9秒95の日本新記録を叩き出した。TOKYO2020が1年延期にならなければ、彼はオリンピックに出場出来なかった。大きな挫折と無念の先には希望があることを彼は教えてくれる。
オリンピックはそんなアスリートたちが4年に一度、競技者人生のすべてをかけて競い合う場。
オリンピックはアスリートファーストだ。ここまできた以上、しのごの言わずに、敬意を持ってアスリートを見守りたい。