TAKARABE
JOURNAL本質を捉える視点

「闇営業」で反社、 問題は芸人のモラルではなく吉本興行の反社的体質

歴史的に興行は反社会勢力が仕切ってきたことくらい誰でも知っている。吉本興行HDの大崎社長は国内ではなく、出張先のバンコクで、共同通信の単独インタビューに応じた。

「(会社を)非上場とし、反社会勢力の人たちには出て行ってもらった。関わった役員や先輩も追い出し、この10年やってきたつもり」

それは評価されてしかるべきだろう。しかしまともな企業がこれほどの社会問題を起こせば、通常はメディアから袋叩きにあう。社長は記者会見上に引っ張り出され、厳しく追及される。

また芸能人であれば通常は「不倫」だけでも記者会見に引っ張り出されて世間のさらしものになる。

しかし今回は当事者である芸人も吉本興行の社長も一切オモテに出てこない。些細なスキャンダルでも大騒ぎするテレビのワイドショーも最小限の報道しかしない。

異例の展開だ。

日頃お世話になっている吉本興行様にテレビは頭が上がらないのだ。こんな連中に他人のスキャンダルを報じる資格はもうない。

また、吉本興行の社長が言う通り

本当に反社と縁を切ったというのなら、社長自ら進んで表舞台に出てきて説明責任を果たすべきだ。

多く芸人が「闇営業」で反社につながっていた事実は芸人個人のモラルで片付けられる問題ではないことを示している。これは吉本興行の構造的問題だ。

「謹慎」で問題を起こした芸人を隔離して、会見も開かず、取材もさせず、社長はバンコクで共同通信だけの取材に応じるのみ。

それが許されてしまうなら、日本のコンプライアンス感覚は地に落ちるばかりか、吉本興行は依然として反社的体質を引きずっていると言わざるを得ない。

修羅場に直面した時に、経営者がどんな「覚悟」で臨むか。そこさえ見ていれば、真贋は明白だ。

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