TAKARABE
JOURNAL本質を捉える視点

福島の意地 幸楽苑の意地

幸楽苑ホールディングスは福島県に本社をおく数少ない会社だ。リーズナブルな醤油ラーメンをコアにしたラーメン一本足打法と言ってよい。2019年には史上最高益をだし、来年も勢いそのままにいけるぞ、という時にコロナ禍で売上が半減、経営は暗転した。500店あった店舗数も400店を大きく割り込んだ。
3代目の新井田(にいだ)昇氏の頭には「倒産」の二文字が浮かんだ。それでもなんとかコロナを凌げたのは、2018年に福島を襲った台風19号の被害を乗り切った経験があったからだと新井田氏はいう。自社工場が一カ月操業不能となり、200店舗を休業するハメに陥った。ようやく成長軌道に戻ったところで今度はコロナだ。
東日本大震災でも福島だけが原発被害を被った。復興も道半ばのところへ今度は台風被害、そしてコロナ。
「なんで福島だけが」という思いは拭いきれない。幸楽苑復活は一企業の話にとどまらないのだ。
コロナで業態も多様化しつつあるが、ラーメン一本足打法の基本原則は「揺るがない」と新井田氏。
折りしも甲子園では仙台育英が優勝し、優勝旗が東北地方の玄関口である“白河の関”を越えた。幸楽苑の全国制覇も期待したい。

*タカラベnews&talk(BSイレブン)
ゲストは新井田昇氏。
放送は8/24よる11:00