TAKARABE
JOURNAL本質を捉える視点

“決められない総理”岸田文雄の崖っぷち

英誌『エコノミスト』の岸田総理に対する評価はさんざんだ。
「つまらない首相・岸田文雄には日本の問題は解決できない。問題を抱える日本に、無策な政権を擁する余裕はないはずだ」
大きなお世話だと反論したいところだが、そうもいかない。総裁選で明言した“金融所得課税”が海外投資家の逃避を招き株式市場の暴落につながこともわからず、いざ株が下がり始めたとたんに「すぐにやるという話ではなかった」引っ込めた。またあり得なかったのは“令和の所得倍増論”もお粗末だった。総裁選では岸田ビジョンのメインタイトルとして大胆に掲げたが、できるわけがないと世間から批判されるや、所信表明演説も含め、二度と口にしなくなってなってしまった。
軽いなあ。
そもそもオリジナルの所得倍増論は1960年に池田内閣が策定したものだが、そのプランを描いたのは経済学者、下村治だった。戦後の日本は好景気になるたびにインフレ→金利引上げ→景気後退の悪循環を繰り返してきた。経済成長したくても成長できない壁にたちはだかれていたのである。その壁を乗り越え、ついに日本は高度成長期へ突入したことを高らかに宣言したのが所得倍増計画だった。大多数の経済学者たちから暴論となじられた下村理論を池田総理が信じたことからすべては始まったのだ。
それに対して岸田総理の言葉には信念も理論もない。“令和版所得倍増論”は何を根拠としていたのか? 威勢のいいキャッチー言葉だったから池田内閣からつい拝借してしまったのか?
情けないなあ。
残念ながら「決められない男」岸田文雄は健在だ。汚名返上なるか。はたまた汚名に汚名を重ねるのか。すべては衆院選にかかっている。